2012年02月09日
青木泰さん・取材裏話2
ツイート私は、最近ツイッターで精力的に情報発信をしている森口祐一先生について尋ねてみた。官庁の審議委員を複数務めている著名な廃棄物研究者だけども、果たして御用学者なのか市民寄りなのか、よく人物評価ができないのだ。
私は森口先生は『踊る大捜査線』の室井さん(柳葉敏郎)みたいなキャラクターかなと思っていて、エリートだから立場上できることとできないことがあるんだけど、他のエリートみたいに腐ってない人なのかなと思っている。志は感じるのだけど(『ツイッターで日本をよくする一つの方法』参照)、「ミスリードじゃね?」という発言もある。
私は森口先生は『踊る大捜査線』の室井さん(柳葉敏郎)みたいなキャラクターかなと思っていて、エリートだから立場上できることとできないことがあるんだけど、他のエリートみたいに腐ってない人なのかなと思っている。志は感じるのだけど(『ツイッターで日本をよくする一つの方法』参照)、「ミスリードじゃね?」という発言もある。
「森口? ああ、あのおっさんね?」
へっ、おっさん?(爆笑) 東大のセンセーをつかまえておっさん呼ばわり? おっさんは別のおっさんに対して容赦がない。
「森口さんにはお世話になったけど、有識者会議がなぜ非公開なの? 非公開というのは、国民を『敵』だという姿勢。その官僚になぜ迎合するの? 自分も一人の国民であるという意識が薄いのか? その点で、あのおっさんはダメよ」
と、手厳しい。
つぎに、災害廃棄物安全評価検討会(宮城・岩手のがれき広域処理にGOサイン出した委員会)の委員で、国立環境研究所・廃棄物センターのトップである大迫政浩さんの評価についても聞いてみた。大迫さんは横浜市の南本牧最終処分場への放射能汚染焼却灰の埋立にお墨つきを与えているのだが、彼の部下である、国立環境研究所の山田正人さんは、反対の意見なのだ。
「大迫はもっとダメ。政治家よ」
こちらはもうバッサリだ。政治家ですかい。
「専門誌である『月刊廃棄物』では、『これまで焼却炉で放射性物質を焼却していない』『知見もノウハウもない』って言っておきながらね、一般向きの雑誌であるAERAでは、『バグフィルターでとれるから煙突からは放射性物質は出ない』って言うわけよ。専門家や業界関係者向きに『全部とれる』なんて言ったら叩かれるからね」
大迫さんは『月刊廃棄物』で、「今後、焼却炉が放射能汚染されるから、いずれ解体も問題になってくるだろう」とも言ってましたね。なのに自治体焼却炉で放射性物質を焼却しても大丈夫だなんて、ミスリードではと思う。
私は、森口先生や大迫さんたちは、放射性廃棄物のことは何にも知らなかったと思う。原発事故発生後に、あわてて勉強を始めたのが実情だと思う。
知ってたのは保安院など、原子力関係者だと思う。昨年春頃、私はある原子力関係者から匿名でメールをいただいたことがあるが、「自治体焼却炉で放射性廃棄物を燃やすなんてとんでもない」「東京都の汚泥焼却プラントからとんでもない量の放射性物質が出ている」「がれきの広域処理には反対」ときわめて強い危機感をもっておられた。「いままで私たちは、なるべく放射能を環境中に出さないように気を遣ってきたのに、原発事故後、信じられない量が外に出ている」と無念の様子だった。
大迫さんたちは「自治体焼却炉で放射能が含まれたごみを燃やしても安全」と言っているが、ほんとうにそうなら、原発の低レベル可燃ごみ焼却炉はあんなに厳重な設備になっていないはずだ。過剰設備ということになって、それこそ「原子力ムラがまた血税をムダ遣いしてるぞ」と言う話になる。あれだけ厳重設備なのは、きっとそれなりの理由があるからだよ。アメリカで「低レベル可燃ごみの焼却は、排ガスコントロールが難しい」と縮小傾向にあるというリポートもある。
青木さんの話の続き。
「彼(大迫さん)は廃棄物資源循環学会でね、聞かれてもいないのに、何を言うかと思ったら『国立環境研究所は環境省所管の機関なので、環境省の方針は配慮しなければならない』と。研究者が何を言ってるんだと(怒)」
おいおい。国じゃないだろ、国民の安全のために働かなくてどうする。御用学者宣言じゃないか。公害事件が起きても、国側に立って、被害認定を縮小するような対抗研究をしかねないぞ。
「災害廃棄物安全評価検討会は、単に国の報告了承機関になってしまってるけど、委員の誰かが音頭をとらないと、官僚たちの思うようにことは進まない。誰が音頭とってるんだと追いかけてゆくと、大迫だとわかった。案の定とんでもないことになってる(怒)」
委員の先生は七人いるのだが、議事要旨を見ると、ちょこちょこ「自治体焼却炉で放射能ごみを燃やしてもだいたいとれるっていう論文が提出されてるけど、机上の空論じゃないの?」等の反対意見も出ている。必ずしも一枚岩ではないようなのだが、仕切っている人は大迫さんらしい。
「森口さんはね、真面目な人だから、そういう二枚舌はしないな。うまく官僚から排除されないようにやってるが、私に言わせればね、やりたいことやりゃあいいんですよ。彼ぐらい実力があれば『自分を排除して困るのは環境省ですよ』ぐらいな腹のすえ方が必要で、そうすれば本当の味方が増える。研究費がなんだっていうんですか(怒)」
カゲキだ。研究費は研究者にとって命綱でしょう(笑)。青木さんは民間のジャーナリストで、全部自分の持ち出しで勉強してるから、税金などを使って研究する人たちに一言言いたいのだろう。
でもスーパー危険厨・青木さんの評価でも、やっぱり森口先生は真面目なんですね。私も森口先生は割と良心的な先生だと思う。リツイートのセンスを含めたタイムラインは、政府広告みたいな匂いですけど。
「京大の小出裕章さんと東大の児玉さんが『どうしようもないものについて燃やせ』って言ってますよね。私のところに、九州の人から問い合わせがあって。『小出さん、児玉さんには、311の後たくさん教わったし、今後も教えていただかないといけない人だ』と断った上で、国による提案は、宮城、岩手の全国化の提案をする一方で、福島のものは福島県内処理をとなっていて、福島の痛みを分かち合うことにはならないという点と、児玉さんはセシウムの沸点の670℃以下で燃やせと言ったとか言わなかったとかということだったので、市町村の焼却炉はダイオキシン類対策特措法で、800℃以上で燃やさないとだめなので、実情に合っていないと答えておきました。」
私も、小出さんは廃棄物については専門外だと思う。あの人、ヒューマニストですからね、つい聞かれたことには人道的視点から発言するのだろうけども、「こうあるべきだ」という私人としての意見と、自然の物理法則とは分けて考えるべきだと思う。
児玉龍彦さんは医学の人でしょう。あの人も廃棄物は専門外だと思う。志は素晴らしいと思うのだが…。
児玉龍彦さんは医学の人でしょう。あの人も廃棄物は専門外だと思う。志は素晴らしいと思うのだが…。
国難なのだから、日本のベスト・アンド・ブライテストで解決案を出すべきだと思うのだけど、「環境省で3/31に10人がまったりしてた」という話で本当に心配になってきた。これは官僚システムの問題かもしれないぞ。
なお、青木泰さんの著作が先月末に出版されたので、お知らせします。今回の原発事故は、これまでのごみ問題の一大ターニングポイントになる歴史的大事件にも関わらず、青木泰さん、日経の井部正之さん、山本節子さんぐらいしか動いているジャーナリストがいない。青木さんひとりであれだけの情報を行政から引き出してきて、いち早く警鐘を鳴らしたという貢献はすばらしいと思う。彼は今回は速報性を重視して、自分の利益を顧みずに無料で原稿をネットに公表するということをしている。相当取材費が持ち出しになっているはずなので、私はカンパのつもりも兼ねて本を買っている。ごみの話は、全体の半分ぐらいかな。残りは食品の放射能汚染の話なので、私はまだ未読です(食品系の情報は、お医者さん系の情報源に頼っているので)。私個人の嗜好では、今回の本よりも前著の『プラスチックごみは燃やしていいのか』のほうが、情報量が濃厚で好きです(この本こそ大赤字だったと思う。相当取材費がかかっているはず。いい本を書くにはお金かかるのに、最近は良書が読まれないんだよね…)。
近日中に、山本節子さんについて書きたいと思います。山本節子さんの調査報道もすごい。あの人も主張がカゲキなんですが(なにしろ、ごみを燃やすことそのものに反対しているのだから、青木さんに輪をかけたハイパー危険厨だ)、めちゃくちゃ取材していて説得力があるのだ。あの人は外国語が堪能なので、海外事情に明るい。

